客殿
私たちは古くから花鳥風月に心を寄せ、
動物や植物だけではなく水や風といった
自然現象の中にも、いのちの存在を認めてきました。
このような日本人の自然観が、
山川草木悉有仏性という仏教の思想と一つになり、
日本の伝統的な文化を育み、
支える基盤となってきたと言えるでしょう。
新しいいのちを生み出し、健やかに育つことを
願う観音さまのお寺に、森羅万象に潜む
いのちの美しさと逞しさを表現する
構想をもった襖絵が画かれたのも、
意義深いことと言わねばなりません。
金剛峯寺第四百十二世座主
高野山真言宗前官
松長有慶大僧正
江戸時代からの建物、庭園、伝統、歴史を大切にし、
現代の人々に親しまれる場所です。
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客殿
江戸時代中期(延享年間(一七四四~一七四八))の建物を活かし、平成十四年に再生された茅葺屋根の客殿です。
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ラウンジ
安産等のご祈祷中、ご家族さまは客殿内のラウンジでお待ちいただけます。
モダンな設計で、インテリアもオシャレです。
庭園
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蓬萊登辿庭ほうらいとせんてい
不老長寿の仙人が住む蓬萊山がどこかにあるという思想から、長寿を祈り、たゆまぬ努力を誓願して造られた江戸時代から続く寺院庭園です。
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鶴石・亀石つるいし・かめいし
蓬萊思想からきたもので、長寿延年を願う為に造られた石組みです。
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三尊石組さんぞんいわぐみ
立身出世を願い、鯉が滝を登ると龍になるという故事「登龍門」にちなんだ庭園です。石組みの最上段に三尊仏の石があり、努力して修行すれば立派な僧侶になれるという仏教理念を表した「龍門瀑」となっています。
襖絵
平成十九年に森山知己画伯が製作した五室八面三十二枚の襖絵です。自然界すべてのもの、一木一草それぞれに仏様が宿っておられると感じていただける空間となっています。
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遊犬図ゆうけんず
客殿に入るとまず迎えてくれる子犬たち。安産祈願のお寺らしい玄関です。
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四季花木図しきはなもくず
四季の花々を一本の流水で繋ぐ光景は、一年という自然の時間が表現されています。
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四季・十二支扇形絵しき・じゅうにしせんけいえ
扇の形に描いた干支と四季の風物の襖絵が向かい合い、部屋全体で仏の教えを感じられます。
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瀬戸内春望図せとうちしゅんぼうず
かつて眼前に広がっていた海は門出、境内の桜は祝福を。不洗観音寺の昔と今の情景から想像された、美しい襖絵です。